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Noriko's Blog

3月22日までの歩み その8

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「一日を愛し、一年を憂い、千年に思いを馳せる」

桃井和馬さんが次世代に伝える言葉として著書にかかれていた、ご本人の承諾を得て、これを全体のテーマに決めました。一日と、一年と、千年の3つの時間軸が融合するような話。最後は融合して悠久の流れ。

世田谷パブリックシアターの助言、「抽象的な表現のほうが大きなメッセージを伝えられる」ということも頭のどこかにありました。

千年は抽象的な表現でいこう。

そして、一年は、一年は……伯父のエッセーのラストに繋がるような子供たちの一年…..

 

学童疎開だ!

 

そうだ、息子のトシ達6年生が作った劇は「学童疎開」」だったじゃないか!

丁度その年は、2009年 戦後65年ということで、東京新聞に毎週日曜日に「焦土からの出発」が連載されていました。編集委員の田中哲男さんが、当時の様子を取材して、記事にしていらして、毎回毎回、力強い内容でした。

その最終回は、「秋保温泉 疎開物語 正座してわびた恩師たち」

私が合致したのは、この記事です。IMG_4027

しかも、願ってもない、田中さんは記事の中で学童疎開を体験した方達を

探し当てて、取材しています。この人たちに会って話を聞かなくちゃいけない!

東京新聞社につてなどありませんから、直接電話していきなり突入、田中哲男さんに会いに行きました。

田中さん、ありがたいことに、ご自身が取材した方たちを呼んで下さり、

私はその数日後に学童疎開体験者の皆さんに会って取材することが出来ました。

私が知りたかったのは、当時の子供たちがどんな事を感じて、どんな事を体験したのか。

8月15日のその日、何を感じて、何を思ったのか。

みなさんからの答えは、じつに素朴で単純な事でした。

戦争が終わったから、悲しかったかというと、そうではない。よくわからなかったのが本当です。それよりも、女の子は、「スカート履きたい!」って思ったり。

 

テーマの中の「一年」がなんとなく形が見えて来ました。では、「一日」は、キャストとは別の、一般の人が

劇中淡々と、「一日の幸せ」を語ってもらうのはどうだろう。

ひとりは母親、ひとりは子供、そして三人目は、この取材で

出会った、学童疎開体験者の中村雅俊さんに、8月15日の一日を語ってもらう。

雅俊さんは、偶然にも、私が小中高を過ごした湘南の藤沢の方でした。取材のために、故郷藤沢に行けるのも、私の楽しみ。

まるで亡くなった父母が引き寄せるようです。IMG_3736

 

因みに、中村雅俊さんは今回の3月22日の朗読劇にも出演してくださいます。先日、5年ぶりに藤沢でお会いしました。お元気でいらして、出演を快諾して下さいました。

さて、パズルはどんどん埋まってゆきます。

では、「千年」のテーマはどうするか、どういう話を織り込んでゆくか。

 

丁度、桃井さんからのお知らせで、写真家の方たちのプロジェクト

「Eye Witness」という企画があるというので、行ってみることにしました。

当時、何人かの写真家の方たちが集まって、その写真とトークで、

この地球に何が起こっているのかを、お話されるというのです。

そこで、アザラシの赤ちゃんを撮っていらっしゃる動物写真家の小原玲さんが話されて、流氷が溶けて、赤ちゃんが育たない実情を離されました。

地球の気候が変わってしまい、氷が無いのです。千年後の地球には流氷もアザラシもいないのではないでしょうか…..

 

千年の時間軸で写真家とアザラシの生み育てる母が対話しつつ……

 

イメージが浮かんだら、いてもたってもいられません。

小原さんに聞きました。

「すみません、小原さんがアザラシの赤ちゃんを撮っていらっしゃるところを取材したいのですが」

みなさん、冗談と思うかもしれませんが、普段は節約して家族旅行で温泉すら行かない私が、劇を作る取材だからと、流氷のある、カナダのマドレーヌ島まで往く決心をします。

が、

その年は、いい流氷が出来てなくて、ツアーはキャンセル。

飛行機チケットまで取ったのに、がっかり。

ところが、小原さんが電話でこうおっしゃいます。

「登坂さん、まだ可能性はあります。知床の流氷があるかもしれません。」

 

息子たちに私は小さい頃から、キャッチボールとか、キャンプとか、父親なら得意だろうという類の事はやってあげたことがありません。

アウトドアは無縁。男の子にとって、冒険とか大自然との体験とか、させてあげたいと思いながらも、私にそういった興味がないから、

無縁でした。知床の流氷!これは絶好の機会。としは何かの用事で行けなかったので、たかを連れてゆくことにしました。小原さんのアザラシの赤ちゃんの写真の取材には、

アザラシに魅せられた方たちが全国からカメラ持って集まります。私が知りたいのは、アザラシの赤ちゃんを撮る写真家です。目的は違っても、

ちゃっかり私はそのツアーに息子ともども入れてもらうことにしました。

この旅はほんとに私とたかにとって、忘れられない旅になります。

それは……

 

 

 

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